映画『Fukushima 50』について
おすすめ度★★
原作本を読んでいたので、映画も観てみました。
原作は小説ではなく、原発事故当時に現場にいた人や吉田所長の周りの人に取材した内容をまとめたものです。
どうしても原作本と比較してしまいますよね。
原作本では、吉田所長はいつも温厚でユーモアがある人格者ですが、映画では感情的にどなるシーンばかり目につきました。
東電の本社のお偉いさんや総理も、現場のことが分からないのに余計な口出すというような描かれ方。吉田所長や伊崎は実名ですが、それ以外の人物は匿名なので、脚色してあるという意味なのでしょうが、悪意が感じられます。
ネット記事で菅直人さんと交流のある方が、この映画は、いくら映画とは言え実際の菅直人の人物像とかけ離れている、菅さんは東工大出身なので全く技術のことを理解できないような人ではない、というようなことを書いていました。その気持ち分かりました。
原作本では、原発事故当時現場にいた作業員と東電社員がどのような行動をとったかを丁寧なインタビューで分かりやすく書いていますし、その行動によって本当に最悪の事態は免れたことも書かれています。
その時考えられる最善の措置を淡々と行い、それぞれの心に様々な思いはあったかもしれませんが、感情的になることなく現場の対処にあたった、後から振り返ってその時こうだった、ということは載っていましたが、映画では『その場にいる人の感情のぶつかり合い』が多くて、違和感を覚えました。
子ども達も2011年は全員が小学生以下だったので、改めて原発事故についても知ってほしいと思いましたが、描き方が・・・。
ただ、映画.comのレビューを見ると、あの事故に際し名もなき作業員が日本国民のために危険を顧みず対処してくれたのが分かった、というようなことが書いてる人も結構いるので、そのように受け取れればいいのかとは思います。
この映画を観るよりは、原作本を読むことをお勧めします。